こんにちは。
「ラブコメディ」「歴史大河」という2本軸で27時間を爆走するタイの超人気ドラマ『運命のふたり』もう観ましたか?
この記事では『運命のふたり』の概要と見どころをまとめてご紹介したいと思います。
2018年にタイでテレビ放送され大ヒットした『運命のふたり』、舞台となったアユタヤにはたくさんの観光客が訪れ、ドラマ内で使われた古い言葉が流行語になったほどの人気ぶりでした。日本ではNetflixにて配信中で、日本語字幕にて観ることができます。
このドラマ、ただ通して観るだけでも面白くてハマる人続出の名作ですが、今回ブログにまとめようと思った大きな理由は
「歴史的、文化的背景を少し知っているだけで数倍楽しめるのでは??」
と思ったということ。
歴史ドラマでありがちなパターンとして、「知識が無いからよー分からん」ということが起こります。歴史好きにはたまらん有名エピソードでも、知識がないためにその名シーンを堪能できないとかですね。
私自身、このドラマを完走した後よく分からない部分が残り、色々調べてみたのです。すると「あ、そういう人物関係なの?」「これ有名エピソードなんだ!」とワクワクする情報がたくさん出てきました。タイ人には当たり前の本名、愛称、敬称などの使い分けは日本人には分かりにくいですし、官位や血縁関係なども結構ややこしい。
このドラマはタイで大ブームを起こしたドラマなので、詳しく解説されたタイのサイトがたくさんありますし、ウィキペディアで人物名を検索するだけでもいろんな情報が出できます。その情報の山からドラマを楽しむためにあったらいいなと思うものを抜き出し、まとめ、感想とともに記事にしてみました!
概要
タイトル | 原題 | บุพเพสันนิวาส(ブッペーサンニワート) |
邦題 | 運命のふたり | |
英題 | Love Destiny | |
地上波放送日 | 2018年2月〜4月 | |
ジャンル | 恋愛・コメディ・歴史 | |
日本での配信 | Netflix(日本語字幕あり) | |
Youtube(英語字幕あり) | ||
主演 | ラーニー・キャンペーン、タナワット・ワッタナプート |
タイの国民的ドラマ『運命のふたり』は2018年2月から4月にかけて地上波放送されました。
日本では、2019年よりNetflixで配信され、日本語字幕で観ることができます。
(youtubeでも観れますが、圧倒的にネトフリがオススメです。youtubeは英語字幕のみなのと、1本あたりの再生時間が短いので集中力が途切れたり続きを探すのが煩わしかったりします。)
ストーリーの面白さに加え、アユタヤに現存する実際の建築物(ドラマのために建てられた建築物を含む)を使って撮影されたこと、衣装や装飾品、生活様式などしっかり時代考証を経て再現されたことなどが話題になり、一大ブームを巻き起こしました。
1話105~110分ほどで、全15話。つまり全部で27時間ほどになります。長い!
でも見始めると、楽しくてあっという間に終わっちゃいます。
今後シーズン2が作られるもと言われていますが、今のところ詳細情報は出ていないようです。
あらすじ
大事故にあった考古学者の魂は17世紀のタイに飛ばされ、性悪な貴女の体に入り込んだ。別人の体で高貴な生活を始めた彼女は、周囲を驚かせながらも魅了してゆく。
上記はNetflixで紹介されているあらすじですが、
もう少しだけ内容に踏み込んだものを私なりに書いてみますと・・・。
交通事故により、約300年前のアユタヤ時代の高貴な女性の体と入れ替わってしまった現代っコのケスラン。
元いた世界(現代)で優秀な成績を納めていた考古学の知識を活かし、この奇妙な状況を乗り越えようと奮闘します。
問題は、入れ替わった体の主であるカラケーは超がつくほどの性悪女であったということ。「高貴で美しいお姫さまになってしまった!」と浮かれたのも束の間、どうやら婚約者から侍女まで、お屋敷中の人たちから疎まれているみたい。彼らの不信を解消することだけで手一杯の日々が始まります。
地上波放送が始まる前の予告編もYoutubeで見ることができます。
予告だけでもみて見ようかなーという方はぜひ。(ALLタイ語です!)
すでにドラマを完走された方にもなかなかグッとくる編集になっていますよ!
主な登場人物
カラケー
ピサヌローク(アユタヤから300km北に位置する古都)からやってきたお嬢様。家族を失い、父の親友であった国の高官ホラティボディ氏の屋敷へ引き取られます。その生い立ちから心が冷え切っており、周りの人間を殴る蹴る、暴言を吐きまくる超極悪娘。死の淵で現代の歴女ケスランの魂に出会い、「私の体を使って善行を積んで欲しい」と自らの肉体を預けます。
ケスラン
明るくまっすぐな現代っコ。歴史が大好きで考古学者への道を邁進中です。(公式では「考古学者」とされていますが、ドラマ内では学生時代の姿ばかり出てくるので、まだ学生なのかもしれません)自分の容姿に自信がなく、好きな男子に思いを告げられないまま事故に遭って死の淵へ。超美人のカラケーに体を託され、アユタヤ時代で超美人(でも性悪)として生きる羽目に。
デート
ナライ王が治めるアユタヤ王朝で将来を期待される若き官僚。当時の最高官僚であった占星術師ホーラーティボディを父に持ちます。親が決めた婚約者であるカラケーとの結婚を拒み続けてきた中、死の淵から生還して以来すっかり性格の変わってしまったカラケー(中はケスランなので)に翻弄されます。ソフトな空気感をまとい、彼の優しい笑顔に憧れる女子多数ですが、実は素直じゃないし、かなりの頑固者。
ルアン
デートの親友。彼もまた将来を期待される官僚です。まっすぐ言葉を口にする、明るく美しいガラケー(中身はケスラン)を気に入り、何かと力になってくれる心強い存在。現代世界でケスランが密かに恋心を抱いていたルアンリットに瓜二つ。
物語の中で重要な役割を担う登場人物が多すぎるので、今回は少数精鋭の紹介にしました。追々他の人物も紹介していきたいと思います。
見どころ
それでは、私が思うこのドラマの見どころについて大まかにご紹介します。
ドラマの1番の魅力はヒロイン、カラケー。
たくさんの魅力が散りばめられた『運命のふたり』ですが、なんと言ってもドラマの中で一番輝いているのがラニー・ケームペーン(以下ベラ)が演じる主人公のカラケーです。「主人公なんだから当たり前だろ!」と思うかもしれませんが、このドラマの大ブームは俳優ベラの存在無くしては有り得なかったのではないでしょうか。知らんけど。
ベラは数々のドラマで主役を演じる人気俳優で、正直私は他の作品を観ていないのですけれど、このカラケーという役については「本当にこの“カラケーの体を借りてアユタヤ時代を生きることになったケスランという女性”を演じるために生まれてきたんじゃないか」というくらいのハマり役だと思います。言い過ぎですかね。いや、言い過ぎじゃないんですよ。
一見クールビューティーな雰囲気を持つベラですが、明るく真っ直ぐなケスランという女性を体現するとき、とんでもなく愛くるしい輝きを放ちます。楽しくてつい踊っちゃう、歌っちゃう、機嫌を損ねて唇を突き出しスネる、素敵な男性たちにうっとりしちゃう・・・全ての表情が、動きが、とにかく愛らしく、見ているこっちがクスリとしてしまうような可笑しさも持ち合せているのです。視聴者はガラケー(ベラ)の表情や行動、一つ一つに釘付けになって、27時間という長さを惹きつけられ続けるのでしょう。
全てのキャラクターが愛おしい
さて、ベラ演じるカラケーを絶賛したところですが、このドラマのすごいところは「登場するキャラクター全てが愛おしい」というところです。なんというか、テキトーなキャラクターがいないんですよ。作者が人間を、そしてこの世界を愛しているんだな、と思わせます。
大勢の召使いたちにもそれぞれの役割、それぞれの人生があり、冷たく見えたあの人にも愛がある。王宮に仕える役人たちにもそれぞれの希望や思惑があり、使命のために精一杯行動を起こしていく。そんな姿に「ああ世の中捨てたもんじゃないよな。私ももっとまっすぐに世界を眺めてみよう。」そんなふうに思わせられます。人生万歳!Viva la Vida!!!!
デートというキャラクターの難解さ
そして私があえてピックアップして書いておきたいのが主役のうちの一人「デート」です。
カラケーという存在に振り回される立場で描かれる役柄なので、一見地味だし分かりにくいキャラなのですが、デートに注目してドラマを見進めると、彼の心が繊細に揺らいでいるのが見えてきます。実はかなり初期の段階でカラケーに惹かれている描写があるんですよね。でも、そこからが長い!何度も揺り戻され、疑い、一筋縄ではいかない。でもこの揺れこそが、リアルな人間描写なんじゃないかなと思うわけです。役者さんが細かく心の機微を体現していくのって当たり前のことなのかもしれませんが、デートを演じる上でこの心の動きを追っていくのはきっととても大変だったのではないだろうかと思うのです。
で、なにせ「運命のふたり」というタイトルで主役がカラケーとデートな訳ですから、この二人はどうしたって最終くっつくわけですよ。運命なんです。この特異な状況に一番前で直面し、受け入れていく、その運命を背負っているのがデートなのです。
付け加えると…80年代後半90年代の少女漫画を読んで育った世代にはたまらん刺さるキャラだと思います。いつも静かで不機嫌そう。何考えてんだか分かんないよ!と女子がヤキモキするアレです。
激動のアユタヤ時代
冒頭にも書いた通り、このドラマの2本柱として、
・ラブコメディ
・歴史大河
という軸があるのですが、この「歴史大河」の部分がドラマを重厚にしています。
時はアユタヤ王朝27代目の王、ナライ王の時代です。1682年から1688年までおよそ6年間が描かれます。(2年ほど短い回想シーンのみですスっ飛ばされる期間もあります笑)日本だと江戸時代、天和2年に八百屋お七が火事を起こしてから元禄元年に入るまでくらいの時期ですね。これ感覚として分かります?歴史に疎い私は全く分かりません!
まあとにかく、その時代のアユタヤ王朝は激動の時代を迎えておりました。ナライ王は文学的、芸術的才能に長け、「タイ文学の黄金期」を築いたと言われています。好奇心が強く、西洋人を官僚として迎え、その技術を取り入れることで国を発展させていきました。しかし西洋人を登用したことでタイ人の官僚たちとの間に軋轢が生まれ、ナライ王の時代は終焉へと向かっていきます。その歴史が細やかに描かれるのがこのドラマです。
また、天文学にも情熱を注いだというナライ王、占星術師として信頼を置き、重用したのがオークヤー・ホーラーティボディという人物(オークヤーは官位の名称)。ドラマの主人公のひとり、デートのお父様ですね。この時代は占星術師の予測が政治の方針を決める重要な役割を果たしていたそうです。つまりこの物語のヒロインは、300年の時を飛び越え、国の方針を決める重要人物の家に暮らすことになってしまったということです。事故に遭い目が覚めると、国の要人の息子の婚約者になっていたと。
ああこりゃ時代の波に巻き込まれますわなと。それで国王お抱え占星術師の息子との恋にハラハラする一方で、国の大激動を体験することになるという「ラブコメディ歴史大河」が爆誕するのであります。
脚本上、ヒロインのみが架空の人物で、それ以外は実在の人物ですから歴史好きには垂涎モノのドラマなのです。“大河”ドラマとはよく言ったもので、ヒロインが全く歴史の外の人物であるにも拘らず歴史は流れていくのだという「どうしようもなさ」もグッとくるポイントです。
キャストについては、王国を動かす官僚たちはみんなイケオジ(というより、いぶし銀という方が似合うかも)ばかりだし、国の将来を担う若手官僚もイケメン揃い。両手を合わせて拝むしかありません。
おわりに
「ざっとまとめる」つもりが思いのほか長くなってしまいましたが、たくさんの人とこのドラマを共有したいという思いのままに書き綴ってみました。
この記事が、すでに観た人にとって楽しくドラマを思い返したり、まだ観ていない人に「観てみようかな」と思うきっかけになったらとても嬉しく思います。