pachiko_shikako’s blog

 まあ、タイ映画でも観ますか。

歴史ドラマとしての『運命のふたり』登場人物紹介:ざっくりバージョン

こんにちは。

またまた登場人物紹介ですが、今回は「歴史ドラマ」としてのストーリーを追う形で”ざっくり”ご紹介していきたいと思います。

この時代の官僚は位が上がるごとに名前自体が変わっていくので、観ている側は誰のことか分からないということが起こり得ますが、この記事ではドラマ内でよく呼ばれる名前を採用しました。

下の相関図と見比べながら読むと分かりやすいかもしれません。

 

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1【ナライ王】

1656年から1688年までのアユタヤを治めた、アユタヤ王朝27代目の王。文学や芸術を愛し、アユタヤ文学史の黄金時代を築いたといわれます。好奇心旺盛で、ヨーロッパ諸国にも門戸を開いて積極的に外国文化を取り入れようとしました。

 

2【コーサーレク(レク様)】

時の財務大臣。有能な軍師でもあり、ビルマ戦では総司令官を務めました。ナライ王の乳母を実母に持ち、幼い頃から共に育ったため、王から絶大な信頼を受けています。ギリシャの商人コンスタンティン・フォールコンの能力をいち早く見抜き、政界へと引き揚げました。コーサーパンの兄で、チャンワの父。

 

3【コーサーパン(パン様)】

時の外務大臣で、コーサーレクの弟。(つまり彼もナライ王と乳兄弟です。)温厚かつ冷静な人格者で、その人柄を讃える文書がヨーロッパにも残っているそうです。フランス、ルイ14世への使節団を率いました。ドラマ内ではカラケーの父と遠い親戚にあたるという設定です。

 

4【ホーラーティボディ(ホラ様)】

ナライ王の教師であり、詩人、占星術師。数々の未来を言い当て、国の重要な決定はホーラーティボディ公の算出した吉日に行われました。タイで初めて作られた教科書「ジンダマニー教本」の著者としても知られています。デートの父で、カラケーの良き理解者。

 

5【ペートラチャ】

王室戦象軍の責任者。(当時は象が重要な戦力だったのですね。)彼の母もナライ王の乳母であり、幼い頃から一緒に育ってきました。外国人を重用する王の方針にはっきりと不快感を示し、王に対等に忠告できる数少ない人間。ドゥーアの父。

 

6【ドゥーア(ソラサック伯爵)】

ペートラチャの息子。デートやルアンと同様、若き官僚ですが、この二人とは違い、常に独特の影を背負っています。最初の登場から、出てくるたびに妙に気になる存在なのですが(私だけじゃないはず)、終盤まで彼について詳しい描写はされません。とはいえ歴史上かなり有名な人物なので、タイの人たちはすんなり観られたのかもしれません。ドラマを観て気になった方もいると思うのですが、第9話で彼が突然ムエタイの技を次々と繰り出すシーンが出てくるんですね。あれは、「メーマイ・ムアイタイ」と呼ばれるムエタイの基本となる技で、その基本の技を確立し、まとめたのがソラサック伯爵(ドゥーア)だということです。ドゥーアなんだからそりゃムエタイのシーン作らなきゃという感じでしょうか?日本人にとってはちょっとびっくり唐突なシーンでしたけれど。はい。個人的にソラサック伯爵が好きすぎて長めになってしまいました。

 

7【コンスタンティン・フォールコン(チャオプラヤー・ウィチャーイェン)】

ナライ王の治世で政府最高顧問にまで上り詰めたギリシャ人。元々は商人でしたが、深い知識と広い経験を武器に、異国の地タイでどんどんのし上がっていきます。市場で一目惚れしたマリーに強引に迫り、妻にします。地位も美しい妻も手に入れて順風満帆の人生のようですが、栄光の裏には黒く渦巻くものがあり…。

 

8【マリー・ギマルド】

歴史上ではフォールコンの妻として知られている女性。また西洋の菓子文化をタイに広めた第一人者としても名を残しています。現在「タイの伝統菓子」として知られているお菓子の中には、彼女がもたらしたものも多数あります。日本をルーツに持つ、商人の娘。聡明かつ芯の強い女性で、カラケーと出会ってすぐに心を通わせ合うように。デートに恋心を抱いたままフォールコンと結婚し辛い生活を送りますが、いつも自分を見失わない高潔な女性です。

 

9【チーパカオ師】

コーサーパン(パン様)の教師であり、フランスへの使節団のメンバーでもあったチーパカオ師。ドラマ内では不思議な力で結界を張ったり、カラケーの心に直接呼びかけたり、「こりゃゼッタイ架空の人物だろ」と思ったら、なんとちゃんと歴史的資料にその存在の記録があるとのこと!バンコクには師を祀ったお寺もあるそうです。カラケーという架空の存在が実際の歴史にアクセスするというストーリにおいて、どうしても発生してしまう「ひずみ」。それを埋めるための重要な役割を担うキーパーソンです。

 

10 【ピー王子】

ナライ王の養子。王から寵愛を受け、晩年病に臥せった王はいつもピー王子をそばに置いたといいます。王の後継者として有力だとみなされ、権力争いに巻き込まれていくことになる悲劇の王子。演じているのはタイの伝統的な歌唱法で歌う歌手、ゲン・タチャヤ。ピー王子がナライ王のために歌う歌声にも注目です。

 

おわりに

ザッとメインの人物を紹介しましたが、いかがでしょうか。この人物紹介がなんらかのガイドになれば嬉しいのですが。

この時代の歴史を調べていくと、ドラマのエピソードはかなり歴史に忠実に作られていることが分かってきます。一方、ケスランの大学での授業で「有力な説」と説明されたのとは違うことが実際には(ドラマの中ですが)起こったりします。それがまた絶妙なリアルさを生み出しています。

カラケーは「立場上関わらざるを得ない」というレベルを超えて積極的に歴史に絡みにいきますが、カラケーが関わろうが関わるまいが史実通りに歴史が流れていく無情さにもグッときますね。

次回は、今回紹介した人物のうち何人かについて、ネタバレ含め解説していきます。