こんにちは。
前回にひきつづき、詳しい人物紹介をしていきます。
今回は4人の紹介になりますが、個人的な推しキャラクターはこの【中編】に固まっているかも…。(なので1人あたりの分量がちと多いです。)
がっつりネタバレありになっておりますので、内容を知りたくないという方はスルーをオススメします。
今回も、前編と同じ相関図を貼っておきますのでご参考にどうぞ!
ペートラチャ(トンカム)
王室戦象軍の責任者。ナライ王がそれ以上の地位を授けようとしても、決して受け取らなかったと言います。
ナライ王の乳母を母にもち、幼い頃から王と一緒に育ってきました。
高官の中でも「王にいつでも、直接、謁見できる立場」という区分があるようで(どういう線引きかちょっと分からないのですが)、ドラマの中でもそれを許された人物かそうでないかという話が出てきます。物語の中で、王と1対1で話すシーンがある高官はホーラーティボディ、コーサーレク、ペートラチャ、コンスタンティン・フォールコンの4人。その中でもペートラチャは王と2人きりで話すシーンが飛び抜けて多いです。彼は王にものすごーくハッキリ意見を言うんですね。もちろん一方は国王で一方は官僚ですからはっきりした上下関係がありますが、それでもペートラチャは非常にまっすぐ王に思いを述べますし、王も耳を傾けるわけです。緊迫感に満ちた2人のやりとりは、国がその後どう動いていくかについての肝になっています。(2人のやりとりのシーンで、ナライ王はペートラチャのことを「トンカム」と呼びますね。これは彼の幼い頃からの呼び名で、2人が幼馴染であることを示しています。)
また、コンスタンティン・フォールコンも王に直接話に行くシーンが多く、ペートラチャとよく鉢合わせします。つまりフォールコンとナライ王の親密さについて一番よく知っているのがペートラチャであり、そのため誰よりも不信感を持ち、危機感を募らせて行ったのかもしれません。
最終回で説明されているかもしれませんが、ペートラチャはナライ王の次にアユタヤ王朝の王(28代目)になります。彼が王となったのち、バンコクに集められた数百のフランス兵たちはタイから撤退し、商人のみが滞在を許されたそうです。ペートラチャ王の治世ではナライ王とは真逆の「鎖国」へ向かって進んでいくことになります。(なのでナライ王とペートラチャの会話=2人の王の会話=国の流れ、となるわけです。)
ちなみにフランス兵の撤退についてはペートラチャ王による排斥というよりは、新王が即位したことでフランス側から撤退の要望が起こったということのようです。詳細が書かれた論文を見つけたのでまたこのブログで紹介しますね。
演じるのはサルット・ウィチトラーノン Sarut Vichitrananda(愛称ビッグ)。実はSoul After Sixというバンドのベーシスト。音楽活動の傍ら、俳優としてドラマや映画に出演するようになり、俳優としても人気に。ペートラチャを演じた際に、「普段の彼と雰囲気が違う!」と話題になったようなのですが、確かにインスタを見てみても、お肌ツヤツヤの若いオニイサン(バイク好き)という感じで、あのペートラチャのイカつい面影が無い…。まあ私はペートラチャ大好きなので、口ひげはやしてお団子ウィッグを被っておくれよ!って思っちゃいますけどね!
https://www.instagram.com/bigibig28/?hl=ja
ソラサック伯爵(ドゥーア)
ペートラチャの息子。武術の達人で、ムエタイの基本となる技を体系化し後世に残した人物です。ドラマではいつも眉間にシワを寄せ、静かに官僚たちのやり取りに耳を傾けていますが、最後に辛辣な言葉を放ってその場を去る…という(だいたいこのパターン)影のあるキャラクターです。
第12話ではっきりセリフとして語られますが、実は、ペートラチャとソラサックは養父・養子の間柄であり、ソラサックはナライ王の実子(隠し子)なんですね。ナライ王がチェンマイ(当時は別々の国だった)へ戦争を仕掛けた時、王はチェンマイ王室の王女、クサワディー王女を気に入り、アユタヤへ連れて帰りました。当時チェンマイは低く見られていたので、王はクサワディー王女を側室として扱うことはせず、ペートラチャに譲るという形で面倒を見させました。王女はペートラチャの妻となりますが、そのころにはお腹にナライ王の子を宿していたという訳です。その子が王の子であることは公然の秘密とされ、ペートラチャの息子として育てられたのです。
いつも眉間にシワを寄せ黙っている、周りと歓談することもなく1人先に去る、彼が背負っているあの影はその生い立ちから来るものだったのでしょうか。王から寵愛を受け異例の昇進を遂げるフォールコンへの強い憎しみは、あるいは自分が受けたかもしれない実父からの愛をそこに見ていたのかもしれません。
一方で、自分を育ててくれた養父ペートラチャへの敬愛と忠誠心は厚く、ペートラチャの片腕として忠実に行動します。
ナライ王亡き後、まず王の実子であったソラサックに次期王の白羽の矢が立ちましたが、彼が断ったという経緯がありました。(ナライ王の実弟、ノイ王子とアパイヤト王子はソラサックによって処刑されたそうです)そしてペートラチャが28代王となり、ソラサックは父ペートラチャの後を継ぐ形で29代目の王となったのです。「後を継ぐ形で」と言っても、すんなり事が運んだわけではなく、彼の父が次の王に指名したのは彼ではなく、なんとペートラチャ王の実子だったとのこと…。こ、これは、ちょっと辛すぎませんか。
ソラサックが王座についた時、その名は「スリイェーンタラーティボディ王(サンペット8世)」またの名を「プラチャオ・スア」と呼ばれました。「プラチャオ・スア」とは日本語で「虎の王」という意味です。王となった彼は残忍な行為を繰り返し、非常に恐れられたのでした。(多くの逸話が残っているようなので、ご興味のある方は調べてみてください。読むだけでギャーとなるような話が色々出てきますよ…)
ソラサック伯爵の人生を追ううちにすっかり心が重く暗くなってしまいましたが、最後にちょっとほっこりできるような話題をひとつ。彼が体系立てたムエタイの基本「メーマイ・ムアイタイ」は現在でもムエタイの基本とされており、タイの「ムエタイの日」である2月6日は彼が王位に就いた日であるとのことです。ちょっと心軽くなりました?私はなってません!笑
演じるのはジラユ・タントラクーン Jirayu Tantrakul(愛称ゴット)。3chのリアリティ・オーディション番組「ザ・アイドルプロジェクト」第1回グランプリを受賞し、3ch専属俳優として活動を開始します。(タイの俳優さんは基本テレビ局に所属しています)『運命のふたり』放送時は3ch所属の俳優でしたが、2020年を境にフリーランスになりました。インスタグラムでは、ソラサック伯爵役では見せなかった笑顔が見られるだけでなく、彼の絵画やアニメーションなどのアート作品(多才!)、読んでいる本や付けているノートが紹介されています。ぜひぜひ覗いてみられることをオススメします!
https://www.instagram.com/godfather1632/
マリー・ギマルド(後のターオ・トーンキープマー)
コンスタンティン・フォールコンの妻。母がポルトガル人と日本人のハーフという日本にルーツを持つ人物です。祖父はキリシタン大名の末裔だと言われています。(第8話では日本で初めて洗礼を受けた王子だというセリフがありました)
ココナッツとヤシ糖、米粉が主な材料であったタイ菓子の世界に、卵、牛乳、小麦粉など西洋の素材を取り入れました。今定番のタイ伝統菓子の中には彼女がもたらしたとされるものがいくつもあります。夫の死後は、アユタヤ政府で菓子部(そんな部門があるんですね!)の長として活躍しました。
ドラマでは、デートへの密かな思いを胸に、強引に結婚を迫るフォールコンを受け入れることにします。マリーの本心を知っていたフォールコンはデートへの嫉妬を拭いきれないまま結婚生活を過ごすことに…。ドラマの中で「結婚」と「愛」について一番鮮やかに描かれているのはこのマリーとフォールコンのペアなのかもしれません。二人が最後に対面するシーン(最終回)は圧巻の名場面です。
また、マリーとカラケーは無二の友情を結び、長くお互いを支え合います。マリーが屋敷で耳にした国にとって重要な話がカラケーに伝えられることでドラマはクライマックスへと向かっていきます。ドラマの「恋愛」部分と「歴史」部分の橋渡しをする重要なキャラクター。
演じるのはスシラー・ネンナー Susira Naenna(愛称スージー)。13歳でモデルとしてデビューし、後に女優としても大人気になります。現在もモデルとしても活躍中。インスタグラムで彼女のグラビアをぜひ見て欲しい。美しすぎて私は鼻血が出ました。つーか、アカウント名が「sushiroo」なんですけど、「スシロー」…?
https://www.instagram.com/susiroo/feed/?hl=ja
チーパカオ師
時の高級官僚たちが師と仰いでいた「チーパカオ師」。ドラマでは寺院に結界を張り、魔術や武術の道場を開いています。カラケーの中にケスランが居ることをすぐに見抜き、身を護るための呪文(透明人間になれる!)を彼女に授けます。
とまあ、ファンタジー世界の住人感100%のキャラクターなのですが、実は歴史上でも実在したと見なされています。コーサーティボディ卿(コーサーパン)が率いたフランス使節団のメンバーであり、その不思議な力で船が渦潮に巻き込まれるのを救ったという書き残しがあります。また、バンコク・ノーイ地区にある「シースダーラーム寺院」は通称「チーパカオ寺院」と呼ばれ、師の行方が分からなくなった後、弟子たちが師のために建てた寺だと言われています。この寺にドラマのチーパカオ師をモデルにした像ができたそうなので機会があれば行ってみてください!
実は「チーパカオ」とは個人名ではなく、「白衣の出家者」という意味の言葉です。「出家者」とはいえど「僧侶」ではなく、“呪術を使う世捨て人”という意味では「仙人」に近いかもしれません。第7話で、呼び名を尋ねたカラケーに「チーパカオ師と呼んでくれればいい」と答えますが、つまりこれは「仙人さまと呼んでくれればいい。」というようなニュアンスです。
初対面でカラケーの中に未来人であるケスランが居ることを見抜き、身を護る呪文を彼女に授けますが、これがドラマのクライマックスで非常に重要なキーとなります。またフランス渡航時には「初めての女性の弟子」として自分の留守をカラケーに託します。それまでは「なぜか予言じみたことを口にする女」だと訝しがられていたカラケーが、高官たちから信用されるようになっていきます。
演じるのはワッチャラチャイ・スントンシリ Watcharachai Soonthornshiri(愛称クルーエン=エン先生)。現役スタントマンであり、乗馬の先生でもあります。数々の歴史映画で俳優に乗馬のテクニックを指導しているのがこのエン先生。古代の武器を使ったアクション指導もしています。2010年より俳優活動を始め、チーパカオ師を演じて一気にお茶の間の人気者になったのだとか。インスタグラムでは映画撮影の裏側が覗けるほか、ドラマのイメージと違って意外とお茶目なおじさまであるクルーエンが見られます!
Inatagram
https://www.instagram.com/ant_horsemaster/?hl=ja
登場人物紹介:がっつりバージョン【後編】に続きます。
残すところあと一人なのですが、このお方が結構長くなってしまったのです。
最終回だけに登場した謎の人物「シープラート」、よろしければお読みくださいませ!