pachiko_shikako’s blog

 まあ、タイ映画でも観ますか。

【前編】【ネタバレあり】歴史ドラマ?『運命のふたり』人物紹介:がっつりバージョン

第8話を境に歴史ドラマとしての色が濃くなっていく『運命のふたり』。ここから第15話(最終回)前半まではガッツリ12時間ほど大河ドラマが繰り広げられ、最後の1時間でやっと「あそうそう、これ当初ラブコメだったわ」と思わされるジェットコースターぶりです。

わたくし個人について言うと、タイムスリップものの恋愛コメディにハマっていたはずが、あれ?大河ドラマ化してからの方が面白くない?とさらに深みへ引き込まれてしまったのでした。

歴史ドラマ部分では、名前や血縁関係、力関係など個人的に分かりにくい点もあったので、当時の官位システム等について触れた後「がっつり版」の登場人物紹介をしていきます!

今回は5人紹介します。下の相関図(この記事用にカスタマイズ済み!)と見比べつつ読んでいただければ分かりやすいかもしれません。

今後【中編】【後編】と続きますので、よろしければまたお読みください。

(※20121015日現在、Netflixでの配信が終了したのでもうネタバレでいいや、と思っているのですが、いつ何時、どの媒体でまた配信されるか分からない…というわけで、ネタバレを避けたい方はスルーしてください)

 

f:id:pachiko_shikako:20211025011909p:plain

登場人物名についての予備知識

アユタヤ時代の官位制度「バンダーサック」

バンダーサックとはアユタヤ時代のタイの官位制度です。Wikipediaによると、高い位から順に、

ソムデットチャオプラヤーチャオプラヤー、プラヤー、プラ、ルワン、クン、ムーン、パン、タナーイ

と呼ばれたということですが、『運命のふたり』ではオークヤー、オークプラ、オークルワン、など少し違った名称が使われています。これは上記のwikiのバンダーサックの官位より古い名称とのこと。

日本語字幕では爵位の名称に置き換えて訳されています。ヨーロッパの爵位は領地に属するもの、日本の爵位は家柄に属するものですが、タイの「バンダーサック」は政治的地位です。(政治的地位自体が血筋によって決まる部分も大きいようなので「家柄による」と言えなくもないですが…)

階級が上がるごとに名前も変わる!

この時代は、階級が上がるごとに新しい名前も賜ることになっていました。つまり、官位とともに本名自体まるっと変わってしまうシステムだったということ。作中でも、時を追うごとに名前が変わっていきます。それに加えてタイには「近しい間柄は決まった愛称で呼び合う」という習慣もあるので、これが結構ややこしい。ロシア演劇の登場人物くらいややこしいです。例えばデートは第1話では「ムーン・スントンテーワー」という名前で、公式の場や仕事仲間からはそのように呼ばれていました。6話で昇進し、「クン・シーウィサーンワーチャー」になります。ムーン(男爵)からクン(子爵)へ、そしてその後に付いている個人名も変わっているのです。

また個人名についてですが、例えばデートの父親の「ホーラーティボディ」という名前。タイ語で占星学のことをホーラサートと言います。「ティボディ」は機関の長という意味を持っており、本名自体が「占星学の長」という意味になります。

財務大臣だったコーサーティボディ(レク)が亡くなった後、弟のパンが財務大臣を引き継ぐことになったとき、「コーサーティボディ」と言う名前も引き継ぎます。「コーサ」はパーリ語で貯蔵庫、お金を保管する場所と言う意味を持つそうです。

つまり、階級が上がるときに王から賜る名前は「階級+職務内容」的なものだったということです。

ではいよいよ、「ナライ王」時代の主要登場人物【前編】です!

ナライ王

1656年から1688年までのアユタヤを治めた、アユタヤ王朝27代目の王。「ナライ」というのは「ヴィシュヌ神の権化」のこと。当時は王にヒンドゥーの神々の名前を付けることが多かったそうです。

ナライ王は文学や芸術を愛し、アユタヤ文学史の黄金時代を築いたといわれます。ヨーロッパ諸国にも大きく門戸を開き、アユタヤを国際都市として発展させました。能力さえあれば外国人であっても官僚として登用するという王の方針は、一方で国内の官僚たちから反発を招くようになります。

当時、「国王は仏教の保護者である」という思想が強くありました。ナライ王ももちろん敬虔な仏教徒でしたが、今で言う「信教の自由」の精神も持ち合わせていました。キリスト教への改宗を迫るフランスに大らかに対応する王を見て、官僚たちは不安を募らせていきます。

ドラマでは、全ての頂点に立つ王であると同時に、共に育った仲間を愛する人間らしい部分がクローズアップされています。「好奇心が旺盛で人を信じやすい」という性格が弱点となって衰退していく姿が描かれる訳ですが、この好奇心旺盛な姿がなんとも愛らしい。(王様に対して失礼でしょうか…)特に、フランス帰りの官僚たちから旅の報告を受けるシーンはとても印象的でした。見たこともない街の様子、タイには無い技術、雪が降った日の方が寒くない、そんな話に驚きながらもキラキラ目を輝かせます。

 

演じるのはプラーパドン・スワンバーン Praptpadol Suwanbang(愛称プラープ)。視聴者を魅了する素晴らしい演技であったこと以外には一つしか言うことはありません。イケオジすぎるイケオジです。インスタでは日常のちょっとカワイイお姿が、フェイスブックでは「イケオジ・オブ・イケオジ」っぷりが見られます。できれば両方見て欲しい。なぜなら彼はイケオジ・オブ・イケオジだから。(しつこい)

facebook

https://www.facebook.com/praptpadol.suwanbang

Instagram

https://www.instagram.com/praptpadol_ppd/?hl=ja

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Praptpadol Suwanbang(@praptpadol_ppd)がシェアした投稿

 

コンスタンティン・フォールコン(後のチャオプラヤー・ウィチャーイェン)

前回の「ざっくりバージョン」の人物紹介では後半に紹介したコンスタンティン・フォールコン。実はナライ王の次に紹介するべき重要人物です。なぜなら彼は、このドラマにおける「ラオウ」だから。

フォールコンは、ナライ王の治世で政府最高顧問にまで上り詰めたギリシャ人です。イタリア人の父とギリシャ人の母の間に生まれ、16歳で東インド会社へ就職。25歳で商人の見習いとして渡タイし、当時の財務大臣であったコーサーティボディ(コーサーレク)に才能を見込まれ、彼に直接仕えることに。

商人としてさまざまな国を見、経験を積んできたフォールコンは知識も豊富で商才にも恵まれていました。好奇心旺盛なナライ王の様々な問いに応え要望を叶えるうちに、今度は王に直接使えるようになります。しかし王の独断で異例の昇進を遂げたことで、タイ人官僚たちから強い反発を受けることに…。

ドラマでは、フォールコン→カムヘン(リットカムヘン)→ウィチャーイェンと名前が頻繁に変わっていきます。昇進が早かったってことですね。貪欲に上り詰めようとしたことで自ら身を滅ぼしていく姿が細やかに描かれます。

また、たった一人愛した女性、マリーの愛を求め続け、それを手にすることができなかった悲しい男でもあります。この部分の描かれ方が素晴らしかったですね。才があり、力があり、恩師を欺いてまで上り詰めても、たった一人の心が手に入らない。ね?これってもうラオウじゃないですか。

 

演じるのはルイス・スコットLouis Scott(愛称ルイ)。90年代に歌手として活躍の後、現在は数々のドラマで活躍するケニア出身の俳優です。プライベートでは、2020年に結婚。お相手はなんと、カラケーの侍女ヤームを演じたラミダ・プラパートノーボンRamida Preapatnobon(愛称ヌン)。インスタグラムでは彼女とのラブラブ生活を垣間見ることができます。

Instagram

https://www.instagram.com/louisscott/

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

@louisscottがシェアした投稿

 

オークヤー・コーサーティボディ(通称コーサーレク)

時の財務大臣。商人の見習いだったフォールコンの才能をいち早く見抜き、政界へ引き上げます。ナライ王の乳母を実母に持ち、幼い頃からナライ王と共に育ったため、王から絶大な信頼を受けています。汚職の疑いで非業の死を遂げますが、歴史上言い伝えられている話とドラマのエピソードに少しズレがあり(諸説あるのでしょう)、この点もドラマをより興味深いものにしています。「何故この人が処刑されなければならなかったのか」は第3話から第9話まで、時間をかけて描かれる大きなテーマの一つです。

ドラマ内では、高官たちがフォールコンに不信感を募らせる中、王が彼を寵愛し、重用する理由を誰よりも理解していました。またフォールコンによる陰謀が確信に変わった時も、自分が目をかけた相手を決して責めずに説得を試みます。そんな彼がまさに「足元をすくわれる」形で亡くなってしまう訳ですね。歴史の波は非情です。

死後、実の弟が「コーサーティボディ」の名を賜ることになったため、歴史を語る上では「コーサーレク」の名で呼ばれることが多いとのこと。(弟は「コーサーパン」)ドラマ内では「レク様」「パン様」と呼び分けられます。

 

演じるのはスラサック・チャイアットSurasak Chaiyaat(愛称ヌー)。柔らかい雰囲気をまとったいぶし銀。ぱちこ的「理想の上司ランキング」ダントツ1位です。数々のドラマに出演していますが、「ヒロインの父親役」を演じることが多いそう。わ、分かる…!個人的には彼が執事役のサスペンスホームドラマを観てみたいんですがどうですかね?

Instagram

https://www.instagram.com/surasak_nu/

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Surasak Chaiyaat(@surasak_nu)がシェアした投稿

 

オークヤー・コーサーティボディ(通称コーサーパン)

時の外務大臣。コーサーレクの実弟。ナライ王からの信頼に厚く、語学も堪能で、ルイ14世へ向けた使節団を率いました。その聡明さと人柄でフランスやドイツの文献にも名を残しており、当時ヨーロッパ諸国から対等に見られていなかったタイの力を認めさせた人物だとも言われています。

コーサーパンも非業の最期を遂げますが、それはこのドラマよりもっと後のこと。(『運命のふたり2』で描かれたりしないかなーとも思いましたが、ちょっと時期が被ってなさそうな気配。)

ドラマ内では大きなエピソードの中心にはなりませんが、要所要所で最後に判断を任され、この方の回答待ちでみんなが動き出す「縁の下の力持ち」、「真のリーダー」的なポジションです。いつもどっしり構え、冷静に状況を観察する姿が描かれます。(ちなみに日本語版ウィキペディアには「ペートラーチャー王の息子」と書かれていますが、これは99%間違いでしょう。)また、タイの現王朝、ラタナコーシン朝チャクリー朝)の1代目の王の祖先にあたると言われています。

 

演じるのはチャートチャイ・ガムサンChartchai Ngamsan(愛称ゲン)。ちょっとホントにこの方のインスタを見て欲しいのですが、すんごい肉体派です。ドラマ内では王様に謁見するときはみんな上半身裸になるのですが、特に気づかなかったんですよね。なぜだ。びっくりのゴリマッチョ・イケオジですよ。だがしかし言われてみればシルクの伝統衣装を着ていてもがっちりとガタイ良い感じはあったかも…。パン様の静かで優しい雰囲気にやられて気づきませんでしたわ。

Instagram

https://www.instagram.com/chartchai_ngamsan/

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Chartchai Ngamsan(@chartchai_ngamsan)がシェアした投稿

 

オークヤー・ホーラーティボディ

ナライ王の教師であり、詩人、占星術師。いくつもの未来の出来事を言い当て、国の重要な決定はホーラーティボディの算出した吉日を元に行われました。また、タイで初めて作られた教科書、「ジンダマニー教本」(第4話に登場)を書いた人物でもあります。

ドラマではその慧眼でいち早くカラケーの変化に気づき、常にカラケーの味方であり続けます。第1話では、呪いから復活したかに見えたカラケー(中身がケスランに入れ替わったばかり)がおかしな言動を繰り返すことにみんなが騒然とする中、ホラ様だけがニコニコと微笑んでいます。一視聴者としては「え、おじさま一人笑ってない?」と不思議な気がしたものですが、なーんだ、最初っから分かってたというわけですか!

どんな不穏なシーンであってもホラ様の登場によって登場人物のみならず視聴者までがホッとするような存在感。デートとその兄シープラートの父。

 

演じるのはニルット・シリジャンヤー Nirut Sirijanya(愛称アーニン)。白髪に青い目(お母様がフランスとタイのハーフで、母親ゆずりの目だとのこと)の、「上品の権化」のような紳士です。2021年現在74歳。ドラマ撮影時は71歳でした。タイ俳優界の大御所ですね。健康の秘訣は25年続けている一日一食生活。肉も10年間食べていないとの事。日本の映画だと、小栗旬さん主演の『ルパン三世』にめちゃめちゃ出てます。悪の親玉役です。インスタアカウントが無いようなので、『ルパン三世』の予告編を貼っておきますね。これを見て「ホラ様!」と叫んでください。

 

youtu.be

https://youtu.be/EPz64LdFr8U

 

登場人物紹介:がっつりバージョン【中編】に続きます。